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実際の授業について
結論からいうと、小学生に対してパソコンを使ってプログラマー養成といったような授業はやりません。
まとめるとこんな感じ。
- パソコンやタブレットを使った授業はほとんどやらない。
- 「プログラミング」という授業が増えるわけではない。
- 現在の授業にプログラミング思考を取り入れて学習する。
プログラミングの技能そのものについて文部科学省は、授業で習得することも考えられるが「プログラミングの習得を狙いとはしていない」とはっきり明言しています。
しかも2020年からはじまるとはいえ、学校に設置されているコンピュータは1台あたり6.2人(平成28年3月時点:目標は3.6人)といった状況なので、パソコンなどを操作しながらの授業がすぐはじまることはないと思います。
プログラミング を授業にしてる学校の実例
すでに本格的に取り組んでいる学校の例として『千葉大学教育学部附属小学校』ではかなり積極的なプログラミング学習の指導をされているようです。
ただしここまでしっかりと本腰を入れて「授業化」しているのはけっこうレアケースです。
どんな内容の授業が行われているかというと、具体的にはこんな感じ。
『micro:bit』マイコンを使ってコンピューターのプログラムを作る授業
むかしお父さんたちが小学生だったころ『学研の科学』の付録にワクワクしたと思います。
電子ブロックとかありましたけど、さらにずっと進化した教材用に『micro:bit』(https://microbit.org/ja/)というマイクロコンピューターがあります。
パソコンだけでなく、モバイルデバイスでも繋げてプログラミングができる優れもので、『MakeCode』というエディターアプリケーションを使って、ブロック形式の命令を積み上げて目的に向かってプログラムを組み上げていくものです。
例えば人間をコンピューターにみたてて、四角形を書かせるプログラムを作るとするとこんな感じ…。
- 鉛筆をつかむ
- 鉛筆を持ったまま紙の上に移動
- 鉛筆の先を紙にゆっくりおろす
- 水平に右横(X+方向)に〇〇cm動かす
- 水平に下(Y-方向)に〇〇cm動かす
- 水平に・・・
1つ1つが命令となり、順番に論理的に正しく積み上げることで誤動作のないプログラムになります。
『micro:bit』のすごい点はこの『MakeCode』エディターではなく、通常のプログラミング言語を使える点です。
すこし専門的になりますが「Python」(パイソン)と呼ばれるプログラミング言語があります。汎用性が高く、AI分野でのプログラムにも使われる言語です。
こうした授業の延長で興味をもったこども達がより知識を深めたくなれば、将来の役にたつと思います。
ただ、本格的にはじまるのは2020年からなので、現時点では資金的に余裕のある学校や自治体以外はなかなかICT(パソコンやタブレットなど)の数が揃わないのが実情のようです。
また、文科省が明言しているとおり『プログラミングの授業』が目的にはなっていないのであくまで取り組みが早い学校の例です。
学校はどんな授業をしようとしているのか?
学校は文部科学省から通達される学習要項に則って授業を行なっていきます。
日本中、どこの小学生も同じような学習内容で授業を受けられるようにするためのルールのようなものが学習要項になります。
なので、学校というよりは文部科学省が今回のプログラミングを授業に取り入れることでどのような能力を育てたいか、ということになるわけですが下記の3つをプログラミング学習の目的の柱としています。
『知識および技能』
コンピューターはプログラムで動いていること、人間がそれらのプログラムを作っていること、そしてコンピューターが得意なことやできないことがあることを知ること。
『思考力・判断力・表現力』
コンピューターに自分が意図した動きをさせるためには、どのような情報の組み合わせが必要なのか、1つ1つを検証しながら論理的に組み上げていくことを考えさせる。
ここが先に『四角形を書かせるプログラム』であげた内容になります。
このレベルでの内容であれば、パソコンを使わなくとも『算数』での計算などをプログラミング的な解法で授業ができます。
『学びに向かう力・人間性等』
コンピューターの有用性を自分の生活に活かしたり、自分が大人になっていずれは社会参画するときに情報を上手に利用しながら貢献できるような大人になれるようにすること。
また、情報セキュリティや著作権などの権利問題、SNSで炎上したり失敗するようなことがないように、いわゆる『情報モラル』について教育するものです。
こうしてみてみると、必ずしもキーボードをさわりながら授業しなくとも他の科目にとり入れて『プログラミング』の考え方を利用するということが、なんとなくわかります。
そして小学生のプログラミング教育の取り組みは、のちにより具体的なプログラミング授業へと引きつがれる中学・高校への基礎的段階ととらえれられています。
今後についてのまとめ
学校でおこなう授業は、すべての小学生のお子さんが学びやすい内容でなければならないので、パソコンを使う授業が苦痛になるようであれば授業であってはいけないと思います。
そういう意味で、あくまで文科省のいうとおり『考え方を学習する』ための手段であれば、プログラミングを生業としているものからすると悪くない勉強方法ではないかなとは思っています。
実際にこの仕事をしたおかげで論理的に考えるクセが養われたところもあるので。
とにかくまだ本格的には始まっていないので今後はこのブログでも実際に学校で行われる内容について追跡していこうと思っています。